ハムスターの冬眠と仕組みについて紹介しています。

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ハムスターの冬眠と仕組み

冬眠ホルモン メラトニン

冬眠開始に、メラトニンというホルモンが関わっているという説があります。
ホルモンは体内で作られ、動物の行動を制御している化学物質です。メラトニンは脳にある松果体という器官で作られ、日長変化に影響を受ける行動に関わるといわれています。メラトニンは夜の間に作られるので、冬が近づいて夜が長くなるとともに、作られるメラトニンの量が増え、メラトニンがある一定値以上になると、動物は冬眠の準備を始めるというのです。しかし実際には、冬眠を開始させる決め手になる物質や仕組みはまだ明らかになっていません。
ゴールデンハムスターは、5℃程度の低温状態で飼育したり、極端な食物不足の状態にした場合にも冬眠に入ることがあります。しかし、繁殖期間中にはこうした条件にしても冬眠しません。体の中があらかじめ「冬眠を開始できる状態」になっていることが必要なようです。
また、一般に冬眠する動物は冬眠しない動物に比べて長寿です。20gほどしかないヤマネでも、最長で8年も生きた例があります。日本にいるヒメネズミやアカネズミなど、冬眠しないほかの小型げっ歯類の多くが長くて2〜3年の寿命なのと比べてはるかに長生きです。
冬眠する動物が長寿である理由のひとつに、冬眠中の死亡率が低いことが挙げられます。エゾシマリスでは、春から秋までに約半数の固体が捕食されるなどして姿を消しますが、冬眠期間中の死亡率は5%以下です。
さらに、ゴールデンハムスターに近い種類のブラントハムスターには、遺伝的に冬眠できるものと冬眠できない系統がいます。この2つのグループを同じ温度条件で飼育すると、うまく冬眠できるグループは平均1093日、できないグループは平均727日でした。一生のうち、冬眠した期間が長い個体ほど長寿になり、冬眠しない個体と比べて平均1.5倍ほど長生きだったのです。ゴールデンハムスターでも冬眠するものと冬眠しないものがいるので、このような違いがあるかもしれません。

ケージは5℃以上の場所に

シベリア南西部の草原地帯に生息するジャンガリアンハムスターは、真冬でも夜間に地上で食物を探す姿が見られます。日中の数時間だけ、地下の巣で体温を下げて休眠状態になります。数日から数ヶ月にも渡る真の冬眠とは異なる、「日内休眠」です。
ジャンガリアンハムスターは体温を下げて日内休眠をすることで、20%ものエネルギーを節約できます。さらに、頻繁に日内休眠をする固体は、しない固体に比べてより少ない食物量で冬を越せるようです。冬眠や日内休眠をするときには、体温が外部の気温と同じくらいになっていきます。そのため、ハムスターのケージを置く場所が5℃以下の温度にならないようにしましょう。5℃以上の場所なら、わざわざ部屋を暖めなくても大丈夫です。
最近の研究で、冬眠中の動物の脳の状態から、冬眠と睡眠の違いが明らかになってきました。驚いたことに、冬眠中のジャンガリアンハムスターの脳波は、寝不足の状態のときとそっくりだったのです。ハムスターたちは、どれほど長く冬眠しても、脳の疲れがとれないようです。
ゴールデンハムスターやヤマネ、シマリスなどの冬眠する哺乳類は、冬眠期間中定期的に目を覚ましますが、彼らはただトイレに行ったりえさを食べるためだけに目を覚ましているのではなく、「本当の睡眠をとるために目を覚ます」という説もありますが、本当かどうかは確かめられていません。また、冬眠中は免疫力が高く、病気にかからないという説もあります。
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